「豪ドルの5年後10年後について見通しが知りたい」
「豪ドルの最新情報や特徴が知りたい」
この記事では「豪ドルの見通し」についてご紹介していきます。
お読みいただければ「豪ドルならではの特徴」や、「豪ドルの価格変動の変遷と今後の見通し」など豪ドルにまつわる知識を増やした上で投資ができるようになりますよ。
豪ドルの特徴5つ
- 資産国通貨の代表格
- 世界第6位の取引量を誇る
- 中国の影響を受けやすい
- 金利が高いため、信用リスクが低い
- エネルギー資源価格に左右されやすい
資産国通貨の代表格
豪ドルは資産(資源)国通貨の代表格です。そもそも資産国通貨とは、自国経済における資源の輸出への依存度が高い国の通貨をいいます。
豪ドル以外の資産国通貨には、カナダドルや南アフリカランドなどが挙げられます。
2020年外務貿易省統計によるとオーストラリアにおける輸出の上位3品目は以下の通りで、全体の50%以上が鉱物資源を占めているのです。
- 1位:鉄鉱石(32.0%)
- 2位:石炭(12.0%)
- 3位:天然ガス(10.0%)
そのため、各種鉱物資源価格の値動きに連動しやすいという特徴があります。豪ドルの取引をする際は、資源価格も注視しておくとよいでしょう。
世界第6位の取引量を誇る
豪ドルは2022年4月時点で世界第6位の取引量を誇る通貨です。米ドル、ユーロ、円、ポンド、人民元に次ぐ取引量で、2010年以降における世界を占める通貨シェアは3〜4%を維持しています。
上位5通貨で全体の約80%を占め、それらに次ぐ取引量があることから、比較的売買の成立しやすい通貨といえるでしょう。そのため、値動きも比較的安定しやすいという特徴があります。
しかし、米ドルやユーロなどの上位通貨に比べて取引量は当然劣ります。さらに、資源価格に連動しやすいことから、急な価格変動が生じる可能性は否めない点にも注意が必要です。
中国の影響を受けやすい
豪ドルは中国の影響を受けやすい通貨です。なぜなら、オーストラリアは中国との貿易が最もさかんだからです。
外務貿易省統計によると、2020年におけるオーストラリアの輸出の上位3カ国は以下になります。
- 1位:中国(36.4%)
- 2位:日本(10.7%)
- 3位:アメリカ(6.3%)
そして輸入の上位3カ国は以下になります。
- 1位:中国(23.9%)
- 2位:アメリカ(12.6%)
- 3位:日本(5.5%)
このようにオーストラリア経済は、中国の経済状況や資源の需要量に大きく依存しているのです。
経済動向に限らず政治的な関係性にも注意が必要で、過去には外交関係が悪化したことで相場が下落したことも。
中国国内の新型コロナウイルス蔓延に伴う景気回復の兆しなども、豪ドルに大きく影響を及ぼすでしょう。
金利が高いため、信用リスクが低い
豪ドルは、政策金利などの金利水準が相対的に高いとされる「高金利通貨」に該当していました。
しかし、政治的な側面や自国の経済力が安定するようになり、近年では比較的リスクの低い通貨として見直されています。
国内の中央銀行であるオーストラリア準備銀行(Reserve Bank of Australia、以下RBA)では、新型コロナウイルス蔓延に伴い、政策金利を一時0.10%まで引き下げています。
その後、インフレ率や失業率が改善傾向にあることから、2022年5月から利上げに転じ、同年10月時点で政策金利は2.60%に到達しています。
新型コロナウイルス蔓延前は1.50%前後で推移していた金利が一旦下がり、現在は利上げを続けている状況です。豪ドルの値動きを見るにあたり、今後のRBAの動向には目が離せません。
エネルギー資源価格に左右されやすい
オーストラリアは資源が豊富に算出される資産国通貨の代表でした。そのため豪ドルは、エネルギーの資源価格に左右されやすいという特徴があります。
国内における輸出品目の上位3種はいずれも鉱物資源やエネルギー資源で、全体の50%を超えています。
そのため、世界的にエネルギーの需要量が高まれば、豪ドルの価値も高まっていくでしょう。
新型コロナウイルスによって停滞した経済活動が従来の水準に回復するまでは、資源価格は上昇傾向にあると考えられます。
このように、オーストラリアは資源が豊富に産出されるがゆえに、豪ドルの価格はエネルギー資源価格に左右されやすいのです。
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豪ドルに投資する方法
豪ドルに投資するなら、大きく分けて3つの方法が挙げられます。
- FX
- 外貨預金
- 外貨建てMMF(外貨で運用される投資信託)
FXは「外国為替証拠金取引」の略称で、2国間通貨(今回で言えば日本円と豪ドルなど)の売買差益を狙う投資手法です。
外貨預金は、日本円を銀行に預金するのではなく、豪ドルに両替して預金する方法。外貨建てMMFは、外貨(今回なら豪ドル)建ての金融商品に投資する手法です。
紹介した3つの投資手法のなかでも、豪ドルに投資するならFXを最もおすすめします。
豪ドルはFXでの運用がおすすめ
豪ドルの投資でFXが最もおすすめな理由は、大きく分けて次の3点です。
- レバレッジをかけて少額から取引ができる
- スワップポイントでの利益も狙える
- 24時間取引できる
FXは最大25倍のレバレッジをかけられることから、本来必要な資金の25分の1を用意するだけで投資できます。そのため少額から取引できるのです。
また、2国間通貨の売買差益だけでなく、スワップポイントと呼ばれる金利差による利益も得られます。
具体的には、高金利の通貨を買い、低金利の通貨を売るポジションに設定することで、スワップポイントを受け取れます。
最後に、FXは土日を除く原則24時間取引可能で、ライフスタイルに合わせて投資できます。リターンを狙える分のリスクはつきものですが、豪ドルの運用を検討するならFXが最もおすすめです。
豪ドルの価格動向
- 過去20年間の価格変動
- 現時点での豪ドルの価格
過去20年間の価格変動
豪ドル/円の過去20年間の価格変動を振り返ると、大きく分けて3つの要因から価格が大きく変動(下落)しています。
- 2000年〜2001年:ITバブル崩壊とアメリカ同時多発テロ
- 2008年〜2009年:リーマンショック
- 2015年〜2020年:中国の景気減速と新型コロナウイルス蔓延
2000年に入るまでは1豪ドル=80円前後で推移していたところ、ITバブルの崩壊で70円まで下がり、翌年の同時多発テロを契機に56円近くまで下落しました。
その後は低金利で円を借り入れ、豪ドルを買う動きが盛んになり、リーマンショックが起こる2009年には1豪ドル100円をつけるほどに回復しています。
その後、リーマンショックによって50円台後半まで急落しました。以後は世界経済の回復や日銀の金融緩和により低金利状態が維持された結果、90円台半ばまで回復。
そして、2015年以降は中国の景気減速によりエネルギー資源の需要が減少し、豪ドルの価格も緩やかに減少。2020年には新型コロナウイルス蔓延により、一時期は60円近くまで急落したのです。
現時点での豪ドルの価格
2023年1月時点の豪ドル価格は90円前後を推移しています。しかし、1年前の2022年初頭は1豪ドル80円前後でした。
この1年間、アメリカで行われた急速な利上げによって金利が上昇し、ゼロ金利政策を続ける日本との金利差は急拡大。その結果、円安ドル高が進行しました。
それに釣られるようにして、豪ドル/円相場も円安豪ドル高が進行します。そのため、豪ドルは2022年からの1年間で10円ほど価格が上昇したのです。
今後も各国の政策金利が変動する可能性は極めて高く、引き続き中央銀行の動向やエネルギー資源価格の値動きには目が離せません。
豪ドルの今後の見通し
- 政策金利に伴い利上げの可能性がある
- 新型コロナウイルスの影響を受ける
- 中国との貿易関係に注目
政策金利に伴い利上げの可能性がある
豪ドルの今後の見通しは、RBAの政策金利引き上げによる日本との金利差拡大から、円安豪ドル高になる可能性が考えられます。
2022年12月の理事会では、政策金利を2.85%から3.1%に引き上げる決定をしています。利上げは同年5月から8回連続で行われました。利上げ幅は、過去2回と同じ0.25%ポイント。
今後も利上げを継続する方針が示されています。日本との金利差はさらに拡大する見込みであり、見通しは円安豪ドル高のレートになっても不思議ではありません。
しかし、政策金利だけで値動きが決まるものでもないため、複合的な要素から慎重に投資判断をしましょう。
新型コロナウイルスの影響を受ける
新型コロナウイルスの影響を受けることは言うまでもありません。オーストラリア国内における2022年1月時点の新型コロナウイルス・ワクチンの接種率は、2回目接種が92.3%まで到達。
3回目接種は21.2%が完了しており、前回のワクチン接種状況を踏まえても、2023年の国内の経済活動は再活性化されるのではないかと期待されます。
しかし、2022年末にかけて中国で再度新型コロナウイルスが蔓延しており、予断を許さない状況です。新型コロナウイルスが完全に収束するまでには、まだしばらく時間がかかるでしょう。
豪ドルに限らず、新型コロナウイルスが世界経済にもたらす影響は当分続くと考えて間違いないでしょう。
中国との貿易関係に注目
オーストラリアにおける最大の貿易相手国は中国です。中国経済が上向けばエネルギー資材の需要が増します。その結果、中国への資材輸出が増加して豪ドルの価値を支える要因になるでしょう。
一方、中国で新型コロナウイルスが再度蔓延する、地政学的なリスクが発生するなどして中国経済が停滞すれば、オーストラリアの輸出産業にも大きく影響を及ぼします。
新型コロナウイルスからの完全回復が実現できたとしても、中国が最大の貿易相手国になっている現状が変わらない限り、中国との関係性は引き続き注視する必要があります。
中国経済の好不調は、豪ドル/円のレートに影響を及ぼす大きな要因の一つとして押さえておきましょう。
豪ドルは今後上昇傾向にあるため「買い」がおすすめ!
豊富な資源が産出されるオーストラリアの基軸通貨である豪ドルは、資源国通貨としてエネルギー資源価格の変動に連動しやすいという特徴があります。
また、最大の貿易相手国である中国の景気や政治的関係性などの影響も強く反映されます。
2020年に流行した新型コロナウイルス蔓延からの立ち直りは比較的早く、2022年以降から実施しているRBAによる利上げで、豪ドル価格は上昇傾向に。
2023年も利上げが続く方針から、日豪の金利差はさらに拡大する見通しです。
金利差が開くほど豪ドルを購入するメリットは増え、投資妙味があるといえるでしょう。また、世界経済・中国経済が回復するほど、エネルギー需要も増大します。
新型コロナウイルスの収束がいつになるかわかりませんが、豪ドルの価格は上昇に向かう材料の方が多いため、買いポジションをとっておくと投資効率を上げられるのではないでしょうか。